私たち、遠州綿紬に夢中!

写真左から、小杉思主世さん、鈴木めぐみさん、中野眞さん、大高旭さん

小杉■私が遠州綿紬に出会ったのはもう30何年も前。海外からの安い製品におされ、地元の織物業界が徐々に縮小されていく中で、「この味わい深い魅力だけは残ってほしい」と想い続けていたんです。

 

鈴木■今から5年くらい前に小杉さんに紹介されて、初めて遠州綿紬と出会い手に取ったとき、色合いとデザインの素晴らしさに衝撃を受けました。そして調べていくと、この織物が地元の職人さんたちによって地道に伝えられているという厚みのある歴史観に感動。しかも小山みゑさんなど、女性の歴史が深い関わりがあることを知り興味がどんどん膨らんでいったんです。

 

中野■みんなに紹介すると、「味がある!」と関心を持つ人が多くて。それでもっとこの良さをみんなに知ってもらいたいとプロジェクトをスタートさせました。名前は遠州綿紬の元祖の名前を取り「遠州縞プロジェクト」。自分もすっかり魅了されていて、シャツを着たり、風呂敷をかばん代わりに持ったり。今日着ているこのシャツも遠州綿紬。とても着やすくて肌触りがいい!色合いやデザインによって今までに無い自分スタイルを表現出来ている気がします。

 

小杉■今ではたくさんのデザイナーさんが、この遠州綿紬の生地を使って、いろんな作品を作ってくださっています。

 

鈴木■作る人たちも遠州綿紬に出逢うと、すぐにその魅力に吸い込まれてしまうみたい(笑)。それはもう神がかり的な気がしますね。

 

大高■自分は生地を販売する側の立場。業界での遠州綿紬への意識は過去の栄光で、これからどんどん売上が上がるとは思えず・・という考えがあるのも現状です。でもやっぱり遠州綿紬の魅力は本物。それで、自分も一緒に取り組みたい!と思って仲間入りしました。

 

小杉■遠州綿紬は、昔は誰もが手にする身近な生地でした。栄えた時代を通ってきたから今は衰退しているように感じるけれど、本当に良いものを着たい人にとって遠州綿紬は歴史の宝物。

 

中野■その魅力を実感したのが、「2006年静岡ねんりんピック」。遠州縞きものファッションショーで遠州縞の着物20点を紹介したときには、会場から拍手喝采。翌年の「2007グッドデザインしずおか(静岡県主催)」では大賞を受賞できました。遠州綿紬を洋服や雑貨に生かした取り組みが認められたのですが、これも遠州綿紬そのものに魅力があったからこそ。

 

※「2007グッドデザインしずおか」は、静岡県内の中小企業などが開発したデザインや機能性にすぐれた製品と開発活動を表彰。遠州縞プロジェクトはこの年大賞を受賞した。

 

大高■今もずっと遠州綿紬を愛して作り続けてくださっている職人さんたちに感謝ですね。

 

鈴木■風土に根付いて息づいてきているから、日本人の肌色や肌質にもぴったりマッチして、着ても持っても気持ちが落ちつく。この魅力を絶やしたくありません!

 

小杉■そのためにも生地の作り手と製品デザイン者と消費者が自然な需要と供給のサイクルとなっていくことが大切ですね。

 

遠州縞プロジェクト会議でのひとコマ(2008年夏)