遠州縞”聞き書き”アーカイプス-1
遠州織物と初生衣(うぶぎぬ)神社
初生衣神社 鈴木栄男(すずきしげお)宮司様のお話し
2019年4月16日(火)18時より、浜名惣社神明宮社務所にてNPO法人遠州縞プロジェクトの第3回定期総会が開催されました。開催に先立ち遠州織物発祥の地と言われる「初生衣神社(うぶぎぬじんじゃ)」の宮司鈴木栄男(すずきしげお)様より記念講話をいただきました。
1 初生衣神社の歴史
①ご祭神 ……… 天棚機姫命(あめのたなばたひめのみこと)
天照大神が天岩戸からお出ましになったときの絹の織物を織った。
②創 始 ……… 不明(確実なことは、定かではない)
・神服部文書:平安中期、久寿2年(1155)?
・朝野群載(宣旨・書礼等各種を分類した書物)巻6
:承暦4年(1080)6月10日付神祗官謹奏
浜名惣社は1080年を始まりとしている。
◎天慶(てんぎょう)3年(940)伊勢神宮の神領がおかれていた濱名神戸の立券文の時期ではないか? その頃から「織殿」も有ったのではないか。
立券=荘園設立の許可証
③織殿・織機 … 現在の建物:江戸時代中期、享和元年(1801)
本来織殿は、毎年新しく建て替えられその中で機織りをして、伊勢神宮へ納められていた。
◎創始同様に天慶3年(940)には建てられていたのではないか?
・昭和44年三ヶ日町指定有形文化財
・平成19年浜松市指定有形文化財
2 神服部(かんはとり)家の歴史
①出雲神社系、大和を本拠 : 美和(三輪・神)氏族 → 遠江へ移った。
②神氏 : 神人(むはびと)の後世、神(じん)氏と称して世々服部となり神御衣(かんみそ)を織った。
③神服部(職業的の部) : 服部の一種で神御衣を織る部民である。
④ ○ 鎌倉・室町時代 : 神氏
○ 徳川時代 : 目代(もくだい)・神目代(じんもくだい)
○ 明治時代以降 : 神服部(かんはとり) 織殿で機を織っていた人たちの意
《ことば》 神御衣(かんみそ) → 御衣(おんぞ) → おんぞ様
太一(たいち) = 最高のもの
太一御用 = 最高のものを伊勢神宮に納めますよ
3 遠州織物の起源
①機織りの祖神としてお祀りされてきた初生衣神社
②創始は現在言われている久寿2年(1155)より古く、天慶3年(940)には、お祀りされていたのではないか?
③神服部家は明治時代以降の苗字である。
④遠州織物の起源は、江戸時代中期以降である。
⑤遠州織物の起源よりも、初生衣神社の創始は古く、遠州織物の発祥の地と言っても過言ではない。
⑥おんぞ奉賛会が結成されてより、遠州織物との関係が深くなった。
《ことば》
おんぞ奉賛会 = 初生衣神社に伝わるおんぞ祭やおんぞ奉献団等各種の神事を司り、その伝統・文化を保存し後世に伝える活動を行っている団体
2019.5.14
2019(平成31年)4月16日(火) NPO法人遠州縞プロジェクト第3回定期総会濱名惣社にて
写真2枚とも後列左が鈴木栄男宮司様
これだけは覚えましょう
初生衣神社の始まりは、940年である
初生衣神社の神様は「天棚機姫命(あめのたなばたひめのみこと)」である
初生衣神社は、毎年伊勢神宮へ「御衣(おんぞ)」を奉納している
初生衣神社は、遠州織物の発祥の地である
Written by S.Kosugi